どうも、ディズニーシーで一番好きなアトラクションはシンドバッドの冒険のマルヒロです。
今回はこちらの記事の続きです!いよいよグランドフィナーレまで突っ走ります!
ビッグバンドビートの楽曲情報をアメリカのDヲタ音大生が解説する ~前編~
舞浜までの移動時間の間に、ビッグバンドビートについて詳しくなっちゃいましょう!
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客席と一体のコール&レスポンスタイム!
Four Brothers
少しゆったりした『Cheek to Cheek』のあとは、アップテンポな『Four Brothers』が始まります。
こちらの曲の魅力は、サックス、トロンボーン、トランペットのソロ合戦と会場が一体となって"Yeah!"と叫ぶコール&レスポンスだと思います。
原曲は1940年代に、偉大なジャズサックス奏者のジミー・ジューフリーによって作られました。もともと楽曲が発表されたタイミングでは、サックスプレーヤーの技術を見せびらかす曲だったため、メロディがかなり上下する難しい曲となっています。
そんな難しいメロディに、無謀にも歌詞をつける人々が現れました。
彼らの名はランバート・ヒックス・アンド・ロス。
1950年代に活躍した3名のボーカリストからなるグループで、様々なジャズのインスト曲に歌詞をつけて歌うパフォーマンスで一世を風靡しました。
そんな難曲を余裕の表情で歌うディズニーのパフォーマーさんたちの技術にも脱帽です・・・
ちなみに曲の途中で各キャラクターが「ドゥビドゥバ」歌うのは、ジャズシンガーがアドリブで歌う際に使われる”スキャット”と呼ばれる手法です。
【元ネタ】
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バンド紹介コーナー
一度パフォーマーがはけ、男性シンガーとバンドだけが残ります。
知っている方も多いと思いますが、実はこのバンド紹介コーナーでは3曲あるうちの1曲が毎公演ランダムに選ばれて演奏される演出になっています。
男性シンガーが、
「何かもう一曲やろうよ!何がいいかな?」
「そうだ、○○はどう?」
とバンドに提案し、曲が決定すると、
「よし、じゃあそうしよう!でもその前に、
まずはビッグバンドとは何かを紹介しなきゃだね!」
と言い出し、各楽器が順番に紹介されていきます。
全メンバーが紹介されたら、いよいよ3曲の中から選ばれた1曲がスタートです。
All of Me
2016年のリニューアル以前もこのバンド紹介コーナーで使用されていた楽曲です。
元の楽曲は、1931年にジェラルド・マークスとセイモア・シモンズという2名が作り上げたものです。当時としては珍しくミュージカルや映画と関係のない単体の楽曲として発表されました。
楽曲はすぐにとあるラジオ放送で、ベル・ベイカーという女性シンガーによって披露されました。
その後はまたたく間に人気曲となり、アメリカ中のミュージシャンがこぞってこの曲を演奏しました。
中でもルイ・アームストロングとフランク・シナトラによるバージョンはものすごく有名で、『All of Me』はいつしかフランク・シナトラの代名詞となりました。
華やかな楽曲の雰囲気とは裏腹に、歌詞の内容は
「(どうせ私をおいていくなら)私のすべてをもっていって」
「もう私の唇も腕も使うことはないでしょう」
「私の心の一部をあなたは奪った。だからどうせならすべてを奪っていって。」
という、恋人に捨てられた人の悲しい嘆きを描いています。
【参考音源】
Bye Bye Blackbird
『Bye Bye Blackbird』は1926年に作曲された、ものすごく古いスタンダード曲です。
コメディ劇の挿入歌などを主に作っていたレイ・ヘンダーソンとモート・ディクソンという二人が作った曲ですが、当時はあまり人気がなかったそうです。
人気が出始めたのは1940年代後半。
とあるポップバンドがカバーしたバージョンが全国的に人気になり、それ以降ジャズミュージシャンがこぞって演奏するようになりました。
大衆音楽で流行した曲をジャズミュージシャンが演奏するという流れは今でもよくあるパターンです。
その人気はとどまるところを知らず、今でもジャズの現場では頻繁に演奏されています。
また、あのビートルズのポール・マッカートニーとリンゴ・スターもそれぞれのソロプロジェクトでこの曲を録音しています。
ちなみにビッグバンドビートでは、東京ディズニーシー15周年記念の特別バージョンのときのみ、女性シンガーとのデュエットバージョンが披露されていました。
ス・ワンダフル('S Wonderful)
『ス・ワンダフル』は、1927年にガーシュウィン兄弟によって作られた曲です。
もともとは1927年に上演した「ファニー・フェイス」というミュージカルのために書き下ろされました。
タイトルは、当時ニューヨーカーの間で流行していた"It's~"の"It"を省略する言い回しから来たもので、本来は"It's Wonderful"という意味です。
いまだに多くのミュージシャンに愛されているスタンダード曲で、近年では2010年公開のジュリア・ロバーツ主演映画「食べて、祈って、恋をして」で、ボサノヴァアレンジされたバージョンが採用されました。
【参考音源】
1927年のミュージカルで主演を務めた俳優が後にセルフカバーしたもの
ミッキーのドラムプレイが炸裂!グランドフィナーレ
シング・シング・シング(Sing, Sing, Sing)
バンド紹介が終わると、いきなり大迫力のドラムソロが鳴り響き、センターステージからミッキーがせりあがってきます!
ここで演奏される曲は、映画「スウィングガールズ」で演奏されたことでも知られる『シング・シング・シング』です!
もともとは、ジャズの本場ニューオーリンズで活躍していたトランペット奏者のルイ・プリマにより、1936年に発表された楽曲です。
そのメロディのキャッチーさに魅了されたビッグバンドが、こぞって自分たちの公演で演奏するようになりました。
中でも有名なのが、当時ニューヨークで最も人気だったビッグバンドの一つ、ベニー・グッドマン楽団によるバージョンです。
実はこのバージョンの編曲はリーダーのベニー・グッドマンではなく、当時別のグループを率いていたフレッチャー・ヘンダーソンが担当したといわれています。
ベニーは白人で、フレッチャーは黒人だったことから、この楽曲の権利に関してはその後いろいろと物議を醸しています。
(といってもベニー自身は非人種差別主義者で、自身のバンドに黒人ミュージシャンを雇っていたので、本人たちはあまりこの件を気にしていませんでした)
そして、この曲の特徴は何と言ってもドラム!
ミッキーがたたいているドラムソロは、ベニー・グッドマン楽団で長年ドラムを叩いていたジーン・クルーパのパフォーマンスが元になっています。
ジーンは白人のドラマーでしたが、黒人っぽい情熱的なドラムソロを披露したことで、この楽曲とこのドラムソロのスタイルを自身の代名詞としました。
前回の記事でも触れましたが、
この低い太鼓の音を中心としたドラミングに、トランペットやトロンボーンの荒々しい音を掛け合わせたサウンドは「ジャングルサウンド」として知られており、デューク・エリントン等の黒人バンドが得意とするスタイルでした。
多くの白人バンドは、このジャングルサウンドを「野蛮」として敬遠しましたが、ベニー・グッドマンはジャングルサウンドを積極的に取り入れ、たちまちニューヨークの大スターとなったのです。

やっぱり当時の音楽に人種の話題はつきものだね
【元ネタの音源】
ビッグバンドビートはスイングジャズの教科書だ!
ということで、ものすごい熱量でお届けしてきたビッグバンドビート解説シリーズ。
とにかくこだわって作られた素晴らしいショーだということが伝わったでしょうか?
このショーの内容とクオリティなら、ジャズを演奏している人が見ても納得だと思います。
次に東京ディズニーシーに遊びに行くときは、今回ご紹介した知識をもとにショーを鑑賞してみると、今までの何倍も深く楽しめると思います。
そして、今回の記事で少しでもジャズに興味を持った方は、ぜひぜひいろいろな楽曲を聴いてもっともっとジャズの魅力に触れていただければと思います!
この記事が面白いと思った方は、ぜひぜひディズニー好きのお友達にシェアしてください!
それではまた次の記事でお会いしましょう!