まるごとアドリブ

ジャズの知識ゼロで「アメリカ唯一のジャズ専門音大」に留学したドラマーの奮闘記。

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アメリカの小学校でいじめられた僕はとにかく悪口を覚えた

どうも、ディズニーチャンネルよりニコロデオン派のマルヒロです。

 

僕は7歳の時、父親の仕事の都合でアメリカ中西部のミシガン州へ家族と一緒に引っ越しました。

 

もちろん英語は全く話せず、現地校の授業にはついていけません。

その結果僕はいじめられました。

 

そんな僕がいじめのターゲットから抜け出した、ちょっと変わった方法をご紹介します。

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チョコレートミルク味のピザを食べて

現地校の小学校1年生のクラスに編入した僕は、ものの一週間でいじめのターゲットになりました。

 

別に何かきっかけがあったわけではないと思います。

単純に僕が英語が理解できず、バカっぽく見えた。

そして元来控えめな性格で細身の僕は、ただただなめられていたんでしょう。

 

ぶつかられたり、押し倒されたり、ノートに落書きをされたり、教室内のトイレ(非常時にすぐ出れるようにカギはなく、代わりにドアに「使用中」のサインをぶら下げるシステム)を使っているとドアを開けられたり・・・

 

個人的にきつかったのは給食の時間。

 

学校の給食は、大体メイン一品にフルーツか野菜と牛乳(普通、チョコ、いちごから選べる)というセットでした。

 

僕がそれを購入して空いている席に着くと、同級生が「間違えて」チョコレート味の牛乳を僕のメインにぶっかけます。

もともと牛乳が苦手だった僕にとって、牛乳味のご飯しか食べられないという状況は本当に苦痛でした。

 

僕が先生に言いつけても、彼らは英語で言い訳をいくらでも言えるので、僕の言い分なんて聞いてもらえません。

 

さらに面倒なのが、多くのアメリカの学校では、昼食時は全校生徒がカフェテリアに集まって食べるので、監督している先生の目が少なすぎるんです。

しかもカフェテリア担当の先生は担任とは違うため、僕が英語が話せないことやクラスになじめていないことすらあまり理解しいませんでした。

 

親にも何度か報告し、学校に連絡をしてくれたこともありましたが、どうしても管理の目が行き届きづらかったのが現状でした。

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日本人とすらなじめない

やさしさがとげになる

もちろん僕のことを助けてくれる人もいました。

幸いにもデトロイト近郊は自動車の町。

日系の自動車メーカーに勤めている方の家族が多く、僕の小学校にも日本人の同級生が何人かいました。

 

彼らは彼らなりに僕をサポートしてくれ、英語がわからない時は通訳もしてくれました。

 

しかし、そんな彼らも通訳できない時があります。

 

それは「ののしり言葉」

 

多分彼らは意味を理解していたと思いますが、それをわざわざ日本語に翻訳して僕に伝える勇気がなかったのでしょう。

同級生に英語で何かを言われて、僕が「今なんて言ってたの?」と聞くと、「うーん、あまりわからなかった・・・」とごまかされました。

でもその声のトーンや雰囲気でなんとなく気まずさを感じ取った僕は、その彼らのやさしさに余計に傷ついていました。

日本人コミュニティへの参加資格がなくなる?

そんな風に、なんとなく日本人の同級生に対してすら心理的距離感を感じていた僕は、あるときから日本人とも遊ばなくなります。

 

当時僕の周りにいた日本人家族のお子さんは、学校が終わると誰かの家に遊びに行ってはゲームをするかサッカーをするかの日々でした。

 

僕はゲームは好きだけど、周りが持っているような最新機種は持っておらず、ゲームの腕前もあまりなかったためにゲームをする日はそもそも声がかかりませんでした。

どうやら当時の日本人コミュニティに参加するには、最新版のDS Liteとポケモンのソフトが必要だったようです。

 

サッカーに至っては本当に論外・・・。

とにかくスポーツが苦手だった僕は、何度か誘われて参加してみましたが、あえなく醜態をさらして撃沈。

「お前ださすぎw」

と、彼らは冗談のつもりで言っていたのでしょうが、ガラスのハートの持ち主だったマルヒロ少年は心に深いダメージを負い、放課後の遊びにすら参加しなくなりました。

 

現地の同級生からも、日本人の同級生からも孤立した僕は、いよいよ居場所がなくなりました。

僕を救ってくれたテレビの世界

言語も文化も分からず、友達すらいない真っ暗な世界で唯一僕が心から笑えたのは、テレビを見ているときでした。

学校から帰ったら現実逃避をするようにテレビをつけて、寝る直前までいろいろな番組を見ていました。

偶然見たいじめられっ子のドラマ

そんなある日、僕は当時大人気だったコメディドラマ『Drake and Josh』に出会います。

 

主人公の二人はちょっと冴えない高校生。

劇中では学校内外でいじめられるシーンが頻繁にありました。

 

当初はそのシーンを見るのが苦痛でしたが、あるときいつものようにいじめっ子に罵声を浴びせられ笑われていたJoshが、立ち上がって何かを言い、いじめっ子を黙らせるというシーンが映りました。

 

当時はなんて言っていたかわからなかったけど、僕の目にはその姿がものすごくかっこよかったんです。

 

僕はその瞬間

「僕も何か言い返せるようになりたい」

と思い立ちました。

英語の悪口を覚えてみたら見えていた世界が変わった

その日以降、僕は時間があれば辞書を引いていろいろな悪口を調べるようになりました。

 

とはいっても7歳の僕が知っている悪口なんてたかが知れています。

しかも英語がわからないから和英辞典で引くしか手段がなく、調べられる言葉の数は限られていました。

それでも調べていくうちに、数珠つなぎでどんどん新たな悪口を覚えていきました。

時にはインターネットも使いました。

 

悪口って、小学生の男の子からしたら調べるのが楽しくてしょうがないんです。

最初は「バカ」「まぬけ」程度の内容しか覚えていなかったのに、いつしかピー音が入るような言葉も覚えていました。

そして単語のつづりを覚えたら、今度は親が使っていた電子辞書をこっそり開いて例文や発音を確認し、それを何度も繰り返す。

 

渡米したのが4月だったので学校はすぐに夏休みに入り、英語を勉強する時間も増え、7月ごろには僕は「悪口だけは聞き取れる耳」を身に付けました。

両親が見ている大人向けのドラマでも、悪口だけはある程度理解できるようになっていました。

 

そのときはじめて感じた

自分で自分を成長させた実感。

それこそが自信につながりました。

 

学校に行くのが少し怖くなくなりました。

悪口を覚えて気づいたこと

9月になり学校が再開すると、案の定いじめが再スタートしました。

相変わらず給食がチョコレートミルク味の日もあったし、特に理由もなくぶつかられたり押し倒されたり・・・。

そして当たり前のように悪口も言われました。

 

しかし、すでに7歳とは思えないレベルの悪口を脳みそに詰め込んだマルヒロ少年は気づきました。

 

僕の知っている悪口のほうがレベルが高い

 

当時の同級生が使っていた悪口というのは、僕が悪口を勉強し始めたころに覚えていた幼稚なものばかりで、僕からしてみたら「かわいらしかった」のです。

 

そうなると途端にいじめっ子が怖くなくなります。

「はいはい、また5歳児レベルの悪口言ってるんですねー」

とあしらえるようになりました。

 

もちろんその反応は態度にも表れるので、いじめっ子も驚きます。

それまでは何か言われるたびに混乱した顔をしていた僕が、悪口を言われても鼻で笑っているんですから。

 

いつしか僕は、「言われた悪口に対して言い返す」という技も習得していました。

 

いじめっ子:"Why do you have to look so stupid?"

(お前なんでそんなにバカっぽいんだよ)

マルヒロ:"Well look who's talking."

(ブーメラン乙wwww)

 

といった感じで。

 

チョコレートミルクをかけてきても、

"Don't you have something better to do?"

(おまえもっと他にやることないの?)

 

トイレのドアを開けられても、

"You guys are interested in some weird stuff."

(お前ら普通に趣味悪いよ)

 

実は学校が始まる前に、先生に聞かれても問題にならない範囲でスマートに言い返せる表現をリストにまとめ、「こうこられたらこう返す」という予行演習をしていました。

そのおかげでスムーズにセリフを返すことができ、僕は一気になめられなくなりました。

 

それまで僕をいじめていた同級生の中には、

"I'm sorry, I didn't know you were this funny."

(ごめん、君がこんなに面白いやつだなんて知らなかった)

と言ってくる子もいました。(それで許す僕もどうなんだって話ですが)

 

こうして僕は、少しずついじめのターゲットから外れていきました。

 

ちなみに、この悪口やそれに対する返しを覚えてノートにまとめる作業は小学5年生まで続けていました。

悪口を覚えたことで、英語の覚え方を学んだ

僕は悪口を覚えるという作業を通して、英語の勉強方法を身に付けていたということに気づきました。

 

意味を理解し、音を理解し、何度も反復練習して自分の言葉にする。

 

この作業を繰り返すことで悪口を覚えた僕は、悪口以外でも同じことができると知りました。

しかも悪口を電子辞書で調べては発音を聴き、それを自分で繰り返すという作業をしていたので、いつの間にか単語からつづりを予測する耳と脳が鍛えられていたのです。

 

それらに気づいたことで、自分に対しての自信もつきました。

 

それ以降、大好きなテレビを見てはその中で出てきた気になるフレーズを録音し、調べ、繰り返し聞いて反復練習する作業を続けました。

 

あのとき悪口を覚えようとしていなかったら、登校拒否をして日本人学校に通っていたかもしれません。

日本に帰国しておじいちゃんおばあちゃんの家に住んでいたかもしれません。

 

でも悪口を覚えたから、それまでナイフのように鋭かった同級生の言葉が急に丸く見えました。

悪口を覚えたから、英語の勉強の仕方を身に付けられました。

悪口を覚えたから、僕はアメリカで生き延びることができました。

最後に

勘違いしていただきたくないのですが、僕は決して悪口を使うことを推奨しているわけではありません。

悪口やスラング表現は知っておくだけで十分です。

知っていれば、ネイティブがその表現を使ったときに混乱することもありません。

 

僕も悪口に対する返しはたくさん使いましたが、実際に悪口を使った経験はあまりありません。

 

それでも、悪口を知っておくだけで僕の世界は180度変わりました。

 

悪口を通して、苦手な英語といじめの両方を克服した人もいる。

 

その経験をここでシェアすることが、英語を学んだり、海外で暮らしたりしている方々にとっての何かのきっかけになったらうれしく思います。