まるごとアドリブ

ジャズの知識ゼロで「アメリカ唯一のジャズ専門音大」に留学したドラマーの奮闘記。

まるごとアドリブ

ジャズの歴史をアメリカの音大生がざっくり解説する ~誕生からモダンジャズ全盛期まで~

どうも、ビッグバンドビートだったらグーフィーのダンスシーンが一番好きなマルヒロです。

以前ジャズの聴き方・楽しみ方について説明してみましたが、そのときはモダンジャズのスモールコンボと呼ばれる特定の編成に限定して説明をしました。

 

ただ上の記事ではそもそもモダンジャズやスモールコンボが何かをあまり説明していなかったので、この記事ではジャズの様々な演奏形態を歴史とともにできるだけざっくりと紹介したいと思います。

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ニューオーリンズジャズ

アメリカ南部のニューオーリンズはジャズ発祥の地と言われています(詳しい歴史についてはまた別の記事で)。その地で1900年台初頭に黒人コミュニティで盛んだったラグタイムやマーチングバンドなどの音楽が融合し生まれたのがニューオーリンズジャズです。

 

【特徴】

  • チューバ、トロンボーン、トランペット、クラリネット、バンジョーなどが中心(後にチューバはコントラバス、バンジョーはギターに代わる)
  • トロンボーン、トランペット、クラリネットがメロディを即興でアレンジしながら、お互いが絡み合うように自由に演奏する
  • すべての楽器が同時かつ自由に音楽を作り上げる
  • 黒人コミュニティのためのダンスミュージック
  • マーチングバンドの影響もあり、ドラムはバスドラムが主体

 

【参考音源】

www.youtube.com

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スイングジャズ(ビッグバンド)

ニューオーリンズで活躍したミュージシャンは、自身の音楽を録音するためシカゴへ北上します。その中には誰もが知っている伝説のトランぺッター、ルイ・アームストロングいました。

彼はシカゴで自分のグループを率いて演奏・レコーディングをしていました。

そんな彼の噂はニューヨークにまで広まり、ルイはューヨークの黒人楽団にヘッドハンティングされます。

 

それまでニューヨークでは黒人ミュージシャンによるオーケストラ楽団が流行していましたが、彼らの音楽は即興性に富んだものではありませんでした。

 

そこに突如現れたルイ・アームストロング。

 

彼のアドリブ力と独特なスイングのリズム感は、ニューヨークの楽団に強い影響を与えました。そこを発端として生まれたのがスイングジャズです。

 

【特徴】

  • 管楽器を中心とした17人前後の編成で演奏されるのが一般的
  • ニューオーリンズジャズと同じく、ダンスミュージックとしての役割が強い(リズムもメロディも分かりやすくとっつきやすい)
  • 人数が多いため、即興というよりも、楽譜に記された音符を演奏する割合が多い(もちろん要所要所でアドリブソロはあり)
  • 人気に火が付くと白人ミュージシャンもこぞって同じ演奏形式をまねするようになり、1930年台~40年台の主要産業都市にはビッグバンドが乱立
  • ジャズが大衆音楽になった時代

 

【参考音源】

www.youtube.com

モダンジャズ(スモールコンボ)

スイングジャズの人気が高まるにつれて、ジャズは商業音楽化していきました。

もともと譜面に縛られた楽団の音楽に、ニューオーリンズジャズの自由さが加わったことで生まれたスイングジャズも、いつしか大衆受けすることが重要になりました。

演奏が破綻する危険性のあるアドリブ部分は少なくなり、お客さんの期待を裏切らないために同じ演奏を毎晩繰り返すバンドが増えました。

 

そうなると今度は演奏するミュージシャンが飽きてきます。

マルヒロの顔

アーティストがライブで持ち歌をアレンジしたらお客さんにがっかりされるパターンのやつや

そこでビッグバンドの公演後に腕自慢のミュージシャンが集まり、少人数編成でのアドリブ合戦が始まりました。

 

この時期に以降の、少人数編成(スモールコンボ)のアドリブ主体のジャズのことをモダンジャズと呼びます。

 

【特徴】

  • お題⇒アドリブ⇒お題という構成で曲を演奏する(詳しくはこちら参照)
  • 人数が少ないため、一人ひとりが自由に演奏できる
  • ミュージシャンそれぞれが自分の腕前と音楽性を存分に披露できる
  • 腕前を自慢するために、使われる音楽理論や演奏技術がどんどん高度なものになる

 

ビバップ

モダンジャズ創成期の1940年台中盤から1950年台初頭に流行したスタイルです。

スイング時代に演奏されるものよりも、ミュージシャン一人一人のソロが長く、なおかつ高速で複雑なものがほとんどです。

 

演奏内容が高度すぎてついていけなかったニューオーリンズジャズやスイングジャズの名手は「ビバップなんて音楽じゃない」と批判的でした。

しかし現代のジャズで利用される演奏技法や音楽理論のほとんどはこの時代に出来上がったもの。多くのジャズミュージシャンにとって、ビバップは『ジャズの教科書』ともいえるでしょう。

【参考音源】

www.youtube.com

 ハードバップ

ビバップが複雑すぎたということで、ブルース音楽など、昔の黒人音楽の要素を取り入れた原点回帰を目指して作られたのがハードバップと呼ばれるスタイルです。

メロディもアドリブソロもビバップ時代よりはわかりやすく、高度なメロディよりも強いグルーヴ感を意識して演奏されたものが多いです。

【参考音源】

www.youtube.com

ウエストコーストジャズ

ニューヨークを中心とした東海岸で流行したハードバップと時を同じくして、ロサンゼルスやサンフランシスコを中心とした西海岸でも似たような音楽が流行しました。

しかし西海岸のジャズは、どこか都会的で洗練されているものが多く、あえて『西海岸のジャズ』と区別されるようになりました。

【参考音源】

www.youtube.com

 

今回は長くなったので、ここまでで一区切りとさせていただきます。

このあともまだまだジャズの歴史は続くので、今回の記事が面白かった方は次回の記事にもご期待ください!