まるごとアドリブ

ジャズの知識ゼロで「アメリカ唯一のジャズ専門音大」に留学したドラマーの奮闘記。

まるごとアドリブ

ジャズの歴史をアメリカの音大生がざっくり解説する ~多様化するジャズ~

どうも、両手で箸が使えるマルヒロです。

 

以前こんな記事を投稿しましたが、読んでいただけたでしょうか?

 

今回はその続きです。

1950年代後半以降のジャズの歴史を参考音源付きでざっくりと解説していきます!

 

それまであったものを壊して新しいものを作り、それをまた壊して発展していく。

そういった動きが頻繁に起きていきます。

 

いやはや、どんな歴史も創造と破壊の繰り返しですな・・・。

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1950年代以降に登場する新たなジャズの形

クールジャズ

実際にはクールジャズは1940年代終盤からすでに認知されていましたが、1960年代以降のジャズに大きな影響を与えたのであえてここで取り上げます。

 

激しい即興演奏が特徴のビバップの反動として生まれたクールジャズは、全体的に洗練された雰囲気が最大の魅力です。

 

また、室内楽などクラシック音楽の影響も強く、アドリブのソロはあまり重要視されません。

それよりも複数の楽器によるハーモニーが前面に押し出されていることが多いです。

そのため、ビバップを演奏するグループよりも人数が多かったり、ホルンなどのジャズではあまり見られない楽器が使われたりもします。

 

『白人のジャズ』などともいわれますが、マイルス・デイヴィスが発表したBirth of the Coolこそがクールジャズの原点だとする見方もあり、あまり人種は関係ないように思えます。

 

【参考音源】

www.youtube.com

もうひとつのクールジャズ:レニー・トリスターノ派

なぜかクールジャズの代表格として紹介される人物にレニー・トリスターノというピアニストがいます。

 

確かに彼はクールジャズを流行らせたミュージシャンと密接な関係がありますが、僕は個人的に彼の音楽はクールジャズではないと思っています。

 

レニー・トリスターノはニューヨークに自分の音楽学校を作り、そこで後進の指導に当たるわけですが、彼が注目したのは即興演奏

本当の意味での即興演奏とは何かということを追い求め、様々な演奏法や理論を利用した高度なアドリブ演奏の方法論を作り上げます。

 

ビバップの激しいアドリブ演奏を抑えた結果がクールジャズだとしたら、レニー・トリスターノの流派はクールジャズとは違いますよね?

 

【参考音源】

www.youtube.com

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サード・ストリーム(第三流派)

日本語に訳すと、第三の流派という意味のサード・ストリームは、厳密にはジャズのジャンルではありません。

 

クラシックを第一流派、ジャズを第二流派としたとき、その2つの形式の要素を融合させた新たな音楽がサード・ストリームです。

定義はものすごく曖昧で、結局何がサード・ストリームなのかを理解している人は少ないですが、自称サード・ストリームの音楽家たちの作品はクールジャズやそれ以降のジャズに大きな影響を与えました。

 

【参考音源】

www.youtube.com

モードジャズ

モダンジャズの時代の前半に流行したのはビバップとハードバップでしたよね?

そのどちらのジャンルも、アドリブで演奏するソロが楽曲の目玉でした。

 

このアドリブソロなのですが、実は演奏するにあたってのルールがあるんです。

 

そのルールとは、展開されるコード進行に合わせた音の組み合わせを選んでソロを演奏すること。

(コード進行って何?という方は読み飛ばしていただいて構いません)

 

しかしビバップからハードバップへと発展していく中で、ミュージシャンたちはより複雑なコード進行を求めていきます。

マルヒロの顔

目まぐるしく変わるコード進行の中でミスせずにソロが取れたらすごいもんね

その結果、コードに縛られたソロしか演奏できなくなり「これって俺たちが求めていた自由な音楽じゃなくね?」と気づきます。

 

そこで生まれたのがモードジャズ

 

簡単に言うと、「同じコードをしばらく伸ばして、そのコードに対して使える音の組み合わせを限界まで探る」という新しい発想です。

ちなみにこの新たな考えを提唱したのはマイルス・デイヴィスを中心とした人たちです。

 

フィギュアスケートで言うと、

 

ビバップやハードバップがショートプログラム

モードジャズがフリー演技

 

に近いイメージです。よくわからんという人はごめんなさい・・・。

 

クールジャズやサード・ストリームと同じように、バップ系のジャズに対する反動から生まれたモードジャズもまた、その後のジャズミュージシャンに大きな影響を与えます。

 

【参考音源】

www.youtube.com↑の曲で使われているコードはたったの2つです。

アバンギャルド・ジャズとフリージャズ

モードジャズがコードの制約を取り払ったのと同じころ、別の界隈では

 

「もうそもそもコードに合わせた音とかいう考え方が古くない?」

「もっと自由にやろうぜ!」

 

というとがったミュージシャンが出てきました。

 

彼らはそれまで誰しもがある程度は従ってきた音楽理論やリズムのルールを少しずつ無視し始めます。

結果として、不協和音や不安定なリズムが特徴の新たなジャズが生まれます。

 

その中でもまだ何かしらのガイドラインに基づいたものアバンギャルド・ジャズ、基本的にガイドラインとかが一切ないものフリージャズと言います。

 

混沌とした音の塊の中で行われるミュージシャン同士のコミュニケーションや、偶発的に生まれる音楽的なフレーズ、楽器の新たな奏法による新しい音色などを楽しむものですが、さすがに理解できない人が続出しました。

 

【参考音源】

www.youtube.com

www.youtube.com

ネオ・クラシシズム(新古典派?新主流派?)

フリージャズによって制約がほとんど取っ払われたジャズは、いろいろな意味で「自由な音楽」となりましたが、そうすると次世代ミュージシャンたちは次の目標を見失ってしまいます。

マルヒロの顔

ここまで何でもアリになると次に何すればいいかわからん・・・

そこで彼らは、原点回帰を目指します。

そう、ビバップで複雑になりすぎた演奏がハードバップで原点回帰したように。

 

モダンジャズが生まれたころのスタイルに戻り、その中で新たに何ができるのかを模索し始めます。

リズムを工夫したり、お題⇒ソロ⇒お題の形式に一ひねり加えたり・・・

 

この流れを英語ではNeo Classicism、日本語では新主流派などと呼びます。

ですが、もうここまでくると「70年代以降のジャズ」はすべて新主流派に含まれてしまうので、名前による定義はもはや無意味です。

 

【参考音源】

www.youtube.com

www.youtube.com

 新しいジャズの探求は終わらない

今回もかなりざっくりとジャズの歴史を紹介してきましたが、実はこれでもまだ触れられていない部分がたくさんあります。

 

ロックやラテンの要素を取り入れたフュージョンだったり、電子音楽を取り入れたエレクトリックジャズだったり・・・

 

そういった現代のジャズのことを「コンテンポラリージャズ」なんて呼んだりしますが、それに関してはまた別の記事でご紹介したいと思います。

 

とにかくこれで、ジャズの誕生から、ジャズの中でも主流とされてきたスイングジャズとモダンジャズに関しての説明は終わりです。

少しでも「ジャズって面白いんだなー」って思ってもらえたら、僕としては幸せです!

 

2回にわたるジャズの歴史紹介記事、いかがでしたか?

質問・感想もお待ちしています!